金魚は日本の夏を彩る風物詩であり、多くの人々に愛されています。しかし、美しい金魚を元気に育てるためには、適切な飼い方や注意点を知っておくことが重要です。
この記事では、金魚の健康的な成長をサポートするためのポイントや、病気の早期発見方法などを詳しく紹介しています。金魚を飼う際の心構えや、その魅力をさらに深く知るために、ぜひご一読ください。
初心者が金魚を育てる上で注意すべきこと
ポンプなし飼育はおすすめしない
ポンプとは、水に酸素を入れるためのブクブク(エアーポンプ)のことです。結論から言うと、ポンプなしでも金魚は飼えますが、ポンプがないと金魚が元気に長生きできる環境が作れないので、おすすめしません。
ポンプがないと、金魚が十分な酸素を吸えなくなったり、きれいな水が続かなかったりすることがあります。
金魚は、水面で口をパクパクして酸素を頑張って吸いますが、それがストレスになって病気になることもあります。また、水の中にいるきれいにするバクテリアも酸素が足りなくなると死んでしまって、水がどんどん汚れてしまいます。
水が汚れると、金魚が病気になりやすくなって、寿命が短くなってしまうことがあります。エアーポンプを使うと、酸素が十分になり、きれいにするバクテリアも水槽にたくさん住むようになります。そうすると、水がきれいになりやすく、金魚も元気に過ごせるようになります。
初心者も簡単な金魚の飼い方
金魚を飼育する環境を決める
金魚を飼育する前にどこで飼うかを決めましょう。どこで飼うかを決めた後は、飼う場所によって必要なものをそろえる必要があります。
金魚を野外で飼いたい場合、池を造る、水槽を屋外に置く、金魚鉢を用意するなどの方法があります。どれを選んでも飼育自体は問題ありませんが、野外での飼育では野鳥や野良猫などの野生動物からの捕食を防ぐことが重要です。
屋外での飼育では、鳥や魚を狙う動物によって食べられるリスクが高いため、蓋や柵を設けることが必要です。ベランダでも、野鳥などによる捕食を避けるための対策が求められます。
さらに、直射日光が当たるところに水槽を置くとコケが生えやすくなるため、遮光素材を利用することが望ましいです。
屋外に電源がある場合は、室内での飼育と同様に水槽用のライトやろ過フィルターを設置してください。また、寒い冬期にはヒーターを用意するか、室内に移動させることが最適です。
金魚を飼うために必要なものを準備する
- 水槽や金魚鉢
- エアーポンプ
- 砂利
- 掃除道具
- 餌
- 水草もしくは造花
- バクテリア剤
- フィルター
金魚に必要なものは上記のアイテムですが、最低でも水槽とエアーポンプ、砂利、掃除道具、餌さえあれば飼育することができます。これらはペット用品の多いスーパーでもそろえることができます。
飼育する金魚はいきなり水槽に入れない
金魚を新しい水槽に直接入れるのは避けましょう。たとえ水道水からカルキを取り除いていても、購入時の水と自宅の水道水の水質は異なります。水質には水温やpHが含まれ、これらが大幅に異なると金魚はストレスを受け、死に至ることがあります。ストレスを最小限に抑えるために、「水合わせ」を行いましょう。以下に、簡単な水合わせの手順を示します。
水合わせの例
- 金魚が入った袋を水槽に浮かべるか、同じ温度の水が入ったバケツに袋を入れて30分間待機。
- 袋に2〜3か所穴を開け、水槽に浮かべてさらに30分待機(穴の開いた面を水中に向ける)。
- 袋にハサミを入れて水が混ざりやすくし、さらに30分間待機。
- 最後に金魚を水槽に移し、袋の水は取り除く(気にならなければ袋の水も一緒に入れても構いません)。
飼育する水槽にポンプをつける
水槽にエアーポンプを設置することで、金魚の死亡リスクを低減できます。エアーポンプはおおよそ1000円で手に入れることが可能です。また、品揃えの多いスーパーマーケットでは、ペットコーナーにエアーポンプが常備されていることがあります。
餌の頻度は1日2回まで、量は少なめでOK
金魚は過剰に餌を食べる傾向がありますが、与えすぎると水質が悪化し、病気になるリスクが高まります。さらに、消化が不十分になると、回復が難しい転覆病になる可能性もあります。
したがって、1日に1回の給餌で十分です。与えるべき量は、一つまみ程度で、金魚が1分以内で食べ終わるくらいが適切です。夜間に餌を与えると消化が悪くなるため、照明が点いている時間帯や日中に餌を与えることが望ましいです。
水替えは1週間に1回を目安にする
金魚の水槽は、毎週1回くらい水を取り替えましょう。もし、水替えをしても汚れが取れない場合、金魚の大きさや数が水槽に合っていないかもしれません。水槽を大きくしたり、もう一つ水槽を用意することを考えてみてください。
水を変えるときは、水槽の水の全部を入れ替えるのではなく、1/3か半分くらいにしてください。新しい水を入れると、まだ取れていないゴミが舞い上がって汚れて見えるかもしれませんが、1時間から2時間ぐらいすると落ち着いてきれいになります。だから、あまり心配しなくて大丈夫です。
金魚を育てるのに必要なものセット
水槽や金魚鉢
金魚を飼育する上で容器は欠かせません。
金魚は夏祭りで入手できる個体でも15cm〜30cmまで成長します。原則的に金魚は10cm以上になる生き物と認識しておく必要があります。従って小さな金魚鉢や30cm程度の水槽では、5cm程の金魚の子供の飼育で1匹〜2匹が限界です。
5匹〜10匹の金魚を飼育するときは60cm〜90cmの水槽が必要になるので注意が必要です。
金魚サイズ | 水槽サイズ | 数目安 | 水量 |
---|---|---|---|
5cm | 幅30cm×奥行20cm | 1匹〜3匹 | 16L |
10cm | 幅45cm×奥行き30cm | 1匹〜2匹 | 27L |
15cm | 幅45cm×奥行き30cm | 1匹〜2匹 | 27L |
20cm | 幅60cm×奥行き30cm | 1匹〜3匹 | 57L |
エアーポンプ
エアーポンプも先述したように金魚を健康に飼育する上で欠かせないものです。エアーポンプは丸いストーンタイプや四角いフィルター付きがあります。
どちらを選んでも問題ないのですが、四角いフィルター付きのエアーポンプの方が濾過バクテリアが定着しやすく、水中内のゴミも集められるのでおすすめです。
砂利
何もない水槽での飼育もできますが、砂利を敷いていた方が金魚が過ごしやすい水質である中性(PH8.0〜)に傾けやすくなります。水草水槽やメダカ飼育で使われるソイル(丸く焼いて固めた土)は水質を弱酸性に傾けてしまうのでおすすめしません。
水草(造花でも良い)
水草を入れておくと金魚のおやつになったり、水質浄化につながります。しかし、金魚は雑食性が高く、常に何かを食べる特性があるため、水草水槽レイアウトで使われるような繊細な水草はおすすめしません。
食べても枯れづらく、減らないアナカリスやカボンバといった金魚藻と呼ばれる水草を入れることをおすすめします。レイアウトの一環として水草が欲しい時は造花の方が良いです。
金魚におすすめの餌
金魚は何でも食べますが、体を大きくするために高タンパク質・高脂肪の餌を与え続けると消化不良しやすくなってしまいます。脂質の少ない餌選びをするようにしましょう。また、最近では消化を助ける乳酸菌を配合した金魚の餌も販売されています。
バクテリア剤
バクテリア剤は、元々水槽内に住み着いていないバクテリアを入れて、生き物が住みやすくなる環境を作ってくれるものです。バクテリアは砂利や餌といった有機物から徐々に繁殖し定着しますが、初めて金魚を飼う人はバクテリアが住みついている飼育水を用意することができません。
金魚を初めて迎え入れる時に水槽内の水が住める環境にないとストレスを与えることになり、病気を発症するリスクを抱えることになります。リスクをできるだけ抑えたい時はバクテリア剤を使うことをおすすめします。
フィルター
小さい水槽ではエアーポンプだけで十分な場合がありますが、大きい水槽では水槽の上に取り付ける上部フィルターや水槽の側面に取り付ける外付けフィルターを取り付けることをおすすめします。濾過フィルターがあると水質を良好な状態に維持できるので金魚が病気にかかりづらくなります。
ヒーター
金魚の適温は種類にもよりますが、一般的に15度〜26度です(ピンポンパールは26度前後が適温)。外で飼育する時はほぼ間違いなく水温は15度以下になってしまいます。しかし、国産金魚なら耐えられるため、ヒーターを不要とすることもあります。
ただし、室内飼育の時は、人間のいる時間といない時間で部屋の寒暖差が起きるので金魚が寒暖差によって体調を崩してしまう可能性があります。室内飼育の時はヒーターを設置して水温を一定にすることをおすすめします。
水温が低下すると金魚の身体やヒレが黒くなる現象が起きます。これらは病気の回復途中であったり体調を崩している証拠なので適切な治療が必要になってきます。
参考:金魚が黒くなる黒い斑点と黒ソブの原因と突然死を防ぐ治し方
金魚飼育に慣れたらすること
水槽を濾過できるフィルターを設置する
金魚は体が大きくなると、水を汚すことが多いので、濾過フィルターがないと飼いにくくなります。できるだけ大きな濾過フィルターを使うと、水をきれいに保ちやすく、掃除する回数も少なくなります。
金魚の調子が悪い(病気)ときにすること
金魚が体をこすって泳いだり、動かなかったり、斜めに泳いだり、目が大きく見えたり、ウロコが浮いて見えたりするときは、金魚が病気かもしれません。
もし金魚が何匹もいる水槽で、どれかが病気になったら、まずはその金魚を別の入れ物に移しましょう。そして、塩浴という方法を試してみてください。塩浴は、1リットルの水に5グラムの食塩を入れて、0.5%の塩分が入った水を作り、金魚をその中に入れることです。
塩浴をすることで、金魚の体にかかる負担が減って、自然に元気になる力が上がります。病気だと思ったら、すぐに塩浴をしてあげると、早く回復することがあります。1週間くらい塩浴をして、元気になったら、元の水槽に戻してあげましょう。
病気の予兆
病気のサイン | 病気 |
---|---|
金魚が体を擦り付けるように泳ぐ | 白点病 コショウ病 |
底にじっとして動かない | 転覆病 エラ病 |
斜めに泳いでいる | 転覆病 |
ひっくり返っている | 転覆病 |
目が大きくなっているように見える | ポップアイ |
ウロコが浮いているように見える | 松かさ病 |
傷がついているように見える 赤くなっている 黒いあざのようなものが見える | 赤斑病 |
ずっとぱくぱくしている | 酸欠 エラ病 |
ヒレがバサバサになっている | 尾ぐされ病 |
金魚の種類で変わる飼い方
金魚は100種類以上いると言われていますが、実際に日本で飼育されている品種は30種類ほど、さらに流通量の多い品種は10種程度です。
どの種類の金魚も共通して中性(PH8.0〜)の水を好みます。飼育水の準備やポンプの設置は全ての金魚に共通しているので飼育方法はほとんど変わりません。
しかし、金魚は形状によって泳ぎの得意、不得意があります。金魚の種類に合わせて水流の強さや水槽サイズ、レイアウトに気をつける必要があります。
オランダ金魚の飼い方
オランダ金魚は、オランダ獅子頭とも呼ばれ、頭のまわりにふわふわしたもの(肉瘤)がある金魚です。大きく育つので、大きな水槽が必要になります。泳ぎがあまり得意でないので、水の流れをゆっくりにしてあげると喜びます。
丹頂の飼い方
丹頂は頭部に肉瘤(にくりゅう)がある金魚です。丹頂は上から見て楽しむことが多く、睡蓮鉢やトロ舟で飼育する人も多いです。泳ぎはあまり得意ではないことと、頭部の肉瘤が崩れてしまうことを避けるために水流は弱めにすると良いです。
ピンポンパールの飼い方
ピンポンパールは身体がピンポン玉のように丸い金魚です。身体が丸々としているため、消化不良を起こしやすいため、水温と餌やりの頻度や量に気をつける必要がある品種です。
多くの金魚は15度程度での飼育が可能ですが、ピンポンパールは消化不良を防ぐために、26度前後で飼育することが理想です。泳ぎが得意でないため、水流は弱めにしましょう。
らんちゅうの飼い方
らんちゅうは背びれがなく、肉瘤がある金魚です。オランダ獅子頭と同じく体長がかなり大きくなる金魚なので大きい水槽が必要です。身体に対してヒレが小さく、泳ぎが得意でないので水流は弱めに設定しましょう。
琉金の飼い方
琉金は原種に近い和金と似たフォルムをした頭部をしていて、体格はずんぐりとして体高が高く、ヒレが大きいのが特徴です。泳ぎは得意でもなく、不得意でもなくといったぐあいなので、そこまで水流の強さを意識する必要はないでしょう。比較的飼いやすいので初心者に人気が高いです。
コメットの飼い方
コメットは原種のフナに近い金魚で、ヒレが長く泳いだ姿が流星のように見えることからコメットと呼ばれています。コメットは泳ぎが得意で、体長も20cm以上に成長するため大きな水槽が必要になります。
出目金の飼い方
出目金は夏祭りの金魚掬いでも見かける目玉が突出した金魚です。近眼で視力が非常に弱いため、餌を食べるのが苦手です。他の種類の金魚と混泳すると餌を食べられないことが増えるので混泳はあまりおすすめできません。また、流木や石といったレイアウト素材を配置すると怪我の原因になることがあるのでシンプルなレイアウトが理想です。
和金の飼い方
和金は原種のフナに近い金魚です。夏祭りの金魚掬いで使われている金魚の多くが和金です。アクアショップでは小さな和金を小赤と呼んだりします。
金魚の飼い方によくある質問
- 金魚の餌はどれくらい与えるべきですか?
-
金魚の餌は1日1回で十分です。与える量は、1分ぐらいで全部食べられるぐらいのちょっとしたつまみ分が良いです。餌は昼間やライトがついている時間にあげると、消化が良くなります。詳しくは「金魚におすすめの餌」をご覧ください。
- 金魚の水槽の掃除はどれくらいの頻度で行うべきですか?
-
金魚の水槽の掃除は、1週間に1回水を入れ替えるのが良いです。ただし、全部の水を替えるのではなく、水槽の1/3または半分の量にしましょう。新しい水を入れた後、1〜2時間ぐらいで水が綺麗になります。詳しくは「初心者も簡単な金魚の飼い方」をご覧ください。